四つ葉のクローバー

lsiaunqoのブログ

事業としての地方銀行と信用金庫!

皆さん、おはようございます!
地銀と信用金庫といいますと、何れも地域に根を張る金融機関ですが、地銀は株式を公開する地域の名門企業ですが、信金は規模も小さく地味なイメージを持たれがちです。
しかし、事業として見た場合、信金の方が堅実な商売をしている様に思えます。








日銀が4月に公表した金融システムレポートで、2020年代半ばにリーマン・ショック級の金融危機が起きた場合、金融機関がどの様なダメージを受けるかというストレステストを実施しています。それによりますと、海外でも活動する大手銀行、国内を専門とする地方銀行、信用金庫のうち最もダメージが少ないのが信用金庫であるとしています。




大手銀行の中核となる自己資本比率が13.5%から8.8%に急降下し、地方銀行は9.6%から6.5%へ悪化しますが、信用金庫は11.8%から10.7%へと僅かに下がる程度です。同じ地域経済に根を下ろす地方銀行と信用金庫の間で大差がついたのは、各々の金融事業としてのビジネスのモデルに違いがありそうです。




最近、余った預金のやり場に困った一部の地方銀行では、ゼロ金利政策の中で低収益の企業に低い金利で融資を行ったり、新たな貸出先が見当たらず業績の悪化が著しくなっています。この様な状況の中で金融危機が起きれば、低収益の企業は直ぐに経営が行き詰まり、信用コストの膨張という形で地銀の財務内容を痛めることになります。




これに対して、信用金庫は信用金庫法の制約により会社法上の大企業(=資本金5億円以上、負債200億円以上)とは取り引きが出来ないことになっており、文字通りの中小企業、個人事業者を主要顧客としています。その中小企業らにしっかりと根を張り融資を行っている信用金庫は危機時の信用コストが軽く済みます。




地方銀行は、株式を公開している為に、スケールメリットを追求し利益を稼ぐ必要があります。そのために、信用金庫のテリトリーである中小企業らとの取引ではなく、地方の比較的規模観のある企業を主眼に据えて融資活動を行って来た為に、低金利による無理な貸し込みや低収益企業への貸し込みを行っているところに問題があります。




その様な地方銀行が対象とする顧客は、確かに地域で歴史のある老舗企業が多いのでしょうが、時代の変革期の中で新たな事業の可能性を描き切れずに業績が低迷している企業が増えている現実があります。これに対する信用金庫の顧客層は、規模観や華々しさはありませんが、堅実に商売を営んでいる企業が以外に多いということが出来ます。




また、信用金庫は協同組合組織である為、貸出先は基本的に会員に限られます。組織の目的は営業テリトリーである地域の隅々までお金が行き渡るようにすることであり、その意味では地域における相互扶助的な性格を持っていると言えます。よく信用金庫の営業はドブ板営業であると言われる位、お客様個々人との信頼関係によりなりたっています。




余談ではありますが、お客様のお宅の夕飯のおかずが何であるかも分かる位、お客様と密着しています。しかし、そういったお客様との密着度の強さが、融資における目利き力として現れてくるものと思います。財務諸表ばかりを眺めていても、何も数字の行間にあるものが浮かび上がっては来ません。必要なのは代表者の人となりです。




地方銀行の営業スタイルは、顧客こそメガバンクの規模に及ばないものの、やり方はメガバンクとあまり変わらないものと思います。会社法上の大企業を相手に、財務諸表ばかりを眺めていても目利き力は養われません。むしろ最近では目利き力が損なわれているのではないでしょうか。もっと、顧客の懐に入って行かなければならないと思います。




金融経済と実体経済は表裏一体の関係にあり、実体経済の成長に際して金融経済における信用創造がなければ実現できません。信用創造とは、金融機関によるお客様からお預かりした預金を企業などに資金を融資することに他なりませんが、いまこの本来の信用創造機能が疲弊しており、だぶついた資金がマネーゲームに使われている現実があります。




この金融機関による信用創造機能を正常に戻さなければ、どんなに事業会社が情報技術革新によるイノベーションの旗を振ったところで、経済は動かないと思います。メガバンクや地方銀行における利益追求を目的とした効率的な事業運営も良いですが、それでは事業を見極める目利き力は養われません。




いまの金融経済に必要なことは、お金を目的化することなく、お金を媒介としてお客様との信頼関係を醸成することです。時代は、人間が主体の社会を求めています。そこにあるのは、人間同士が交わることにより生まれる社会関係資本に他なりません。金融機関もお金と同時に社会関係資本を貸し出していることを忘れてはなりません。




今日もありがとうございます!